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【鬼滅の刃】私の師範が派手すぎる

第1章 継子




お嫁さん三人が凝視していた、私の顔…。
そこには、師範が鬼の腕を斬った時に飛んできた返り血が付着していたのだ。
とんでもない勘違いをさせてしまった(特に須磨さん)三人の誤解をなんとか解いたのだけれど…
それだけで納得する須磨さんでは、ない。


「切り傷がいっぱい!あッそれって打撲?青くなってるじゃないっ」
「だ、大丈夫ですよ、すぐ治りますから…」
「いいえ大丈夫じゃありません!見せて、薬塗らなきゃ!」
「す、須磨さん〜っ」


夕飯支度の途中じゃなかったのか、と突っ込みたくなるくらい厨のことをそっちのけで、眉間にしわをよせた真剣な顔の須磨さんは私の体をペタペタと触る。少しくすぐったい。

せめて、せめて玄関ではなく治療部屋でお願いします須磨さん。


「須磨、その辺にしといてやれ」


いつものことながら半分泣きそうになっていると、師範の一声で須磨さんの手が止まった。
草履を脱ぎ、日輪刀をまきをさんに預けて、師範は廊下に座り込む私と須磨さんのすぐ横にしゃがみ込んだ。


「舞千は今日、十二鬼月の下弦でもおかしくねぇ鬼と戦って、怪我ひとつしなかった。その細けぇ傷は稽古でついたもんだ」
「え、そうなの舞千っ?」
「俺が駆けつけるまで踏ん張ったんだ、派手に褒めてやれ」
「わあ、舞っちゃん強くなったのね!」
「すごいわ舞千さん」


微笑む師範の言葉に、須磨さんたち三人は眩しいほどの笑顔をパッと輝かせた。
頭を撫でられたり、抱きしめられたり、褒め方は様々だけれど、一様に喜んでもらえるのはとても気持ちがいい。


「あっでも怪我は手当てしないと!ほら舞っちゃん、傷を見せて!」
「や、ちょ、須磨さっ…」
「アンタそんなことしてる場合じゃないでしょ、鍋はどうしたの!」
「ハッ!」


まきをさんの言葉に絶句した須磨さんの表情を見るかぎり、夕餉となる食事が入った鍋を火にかけたままらしい。
それは大変だ。


「馬鹿須磨!鍋が焦げたらどうすんのよ!?」
「いやああっまきをさんがいじめるーーッ!!!」


早く見に行きなさいよ!と般若のような顔になったまきをさんに怒鳴られながら、厨から聞こえてくる火にかけたままの鍋の悲惨な音に向かって、須磨さんは泣き叫びながら慌てて駆けていった。

鍋、焦げてなきゃいいけど…


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