第6章 星月夜
一瞬の静寂が似鳥には永遠の静寂のように思えた。
やがて凛は舌打ちをし、はあっと息をつきこう返してきた。
「...似鳥、お前見たな?」
凛の手にはケータイが握られていた。確実にケータイを見たと思われている。
「中は見てないです!たまたまメールを受信した瞬間の画面を見ただけです!!」
中?と凛の顔に一瞬クエスチョンマークが浮かんだがすぐにいつも通りの表情に戻った。
「別に、あいつはただのダチだ。他校の選手とマネージャーっていうだけで深い関係じゃねぇよ」
普段仏頂面の人が〝ただの友達〟からのメールで一瞬だけでも頬を緩めたりするのだろうか。
そんなことを考えたが凛に、俺のことはいいからお前は自分の机を片付けろ、と言われてしまいそれ以上追及できなくなってしまった。
(先輩がそう言うんなら、僕が色々いう必要もないか...)
そう考えることにしたが、似鳥もやはり男子高校生である。恋愛事情は気になるところだった。