• テキストサイズ

Emotional Reliable

第6章 星月夜


(こいつ、今の、って言ったよな...)

今の、とはどういうことなのだろう。昔は違ったのか。昔はいて今はいない誰かがいるのだろうか。
いろいろと疑問が浮かんできた。と、同時に凛自身その疑問が浮かんできたことに驚いた。


凛は面倒事が嫌いなため、他人に過干渉しないようにしている。深入りしないし、されたくない。日本に帰国して以来ずっとそうだった。

それなのに、汐の一言に自分でも驚くほどの疑問が浮かんできた。
これはどういうことなのだろう、と凛は自分に問いかけたかった。
問いかけたところで答えは出ないだろうけど。


それよりも今は汐の、今のという発言が気になって仕方がない。
疑問の一部をぶつけようと思い、汐の顔を見た。

長い睫毛の下、月明かりをうけてローライドガーネットのように煌めく瞳に星空が映り込んでいる。

凛は息を呑んだ。
その貌が綺麗で、えもいわれぬ気持ちになった。
凛はなにも言えなくなってしまった。

だから凛は気づかなかった。瞳に星空を宿した彼女が、星ではないなにか別のものを見ていたことを。
/ 120ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp