• テキストサイズ

Emotional Reliable

第4章 噂のカノジョ


「は?女子校と合同練習?」

汐が帰ったあと、凛は似鳥や他の部員たちにその旨を伝えられた。

「はいっ、松岡先輩!」
「どことやるんだ?」
「スピラノ高校ですっ!」
「スピラノ?」

スピラノの名を聞いて一瞬あのいたずらな笑顔が浮かんだ。が、すぐに消えていった。

「体力的に練習になんねーんじゃねぇの?」
そう言いながら凛はばさばさと無造作に髪をふく。

「それがなーそうでもないんだよ」
「スピラノの女たちは甘くみないほうがいいぜ」
「そうそう。彼女たち美人だけどみーんな女にしちゃ背がでかくておっかねぇんだよ」

他の部員たちが口ぐちにスピラノ水泳部のことを話し始める。
どうやらスピラノ水泳部は鮫柄水泳部にもひけをとらないほどの強い女たちの集まりらしい。

「じゃ、その女傑のあつまりみてぇなスピラノ水泳部を支えるマネージャーはとんでもねぇやつなんだろうな」

凛の言った何気ない一言。
その言葉から、スピラノ水泳部の話していた他の部員たちはほんのり頬を染めながら、にやにやしながらこそこそとマネージャーの話をしだした。

その様子からマネージャーは部員のお気に入りであることは容易に想像がつく。
凛は特にスピラノ水泳部にもマネージャーにも関心を抱いていないから、その会話に混ざるつもりは毛頭無かった。 


凛を除く2年生に感化されたのか、1年生の間でもスピラノのマネージャーの話で盛り上がっていた。

「先輩たちのお気に入りっぽいですねスピラノのマネージャーさん。どんな人なんでしょうね?松岡先輩!」
似鳥がにこやかな笑顔で楽しそうに声を弾ませて話しかけてきた。
たいして興味のない凛はどうでもよさそうにそっけない答えを返す。


凛には、男子と対等に合同練習をこなすような女傑ぞろいのスピラノ水泳部を支えるマネージャーは女傑の中の女傑のように思えてならなかった。




そしてその日がやってきた。  
/ 120ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp