第4章 変わりゆく関係、別れ
たとえ死んだとしても、相手を思い出した時、心のなかでまた会えるとアーヴィンは言った。
嬉しいと思った。
死が二人を分かとうとも、心は永遠に一緒なのだと、その時は寂しくも、嬉しく思った。
でも、と今は思う。
生きて、会いたい。
アーヴィン。
死んだあと、なんて悲しい話じゃなくて、私はやっぱり、生きてあなたに会いたいよ。
生きてまた、あなたの声を聞きたい。
顔が見たい。
手に触れたい。
抱きしめて欲しい。
───だから、生きて欲しい。
生きることを、諦めないで欲しい。
私を想うのなら、何としてでも、生き延びて欲しい。
「…そろそろ時間か。お前も戻って、支度をした方がいい」
空を見上げながらリヴァイが立ち上がる。
耳を澄ませると、兵舎の中から人の話し声や、物音が聞こえてきた。
ザラは黙って頷くと、リヴァイに向かって小さく頭を下げた。
名残惜しそうに、二人の手が離れる。
「…ザラ」
リヴァイが、小さく名を呼んだ。
「…またな」
最後に優しく頭に触れて、リヴァイは兵舎の中へと入っていった。
『…はい、兵長。また、ここで』
ザラはリヴァイの後ろ姿をしっかりと目に焼き付けて、自身も自室へ戻ると、支度を始めた。
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