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【リヴァイ】君がため

第4章 変わりゆく関係、別れ



ザラは少し考えたのち、一方的に握られているだけであった手を握り返した。

気付いたアーヴィンが、足を止めてザラを振り返る。
夜道の暗がりの中で、ザラが微笑んでいるのがアーヴィンにはわかった。


「…なんだ、何を笑ってるんだ」


つられて、アーヴィンも笑う。


『へへ、私嬉しいんだ。アーヴィンといられるの、すっごくすっごく嬉しいんだ。…会いたかったよ』


照れたように俯いて、ザラは自身の足元へ視線を彷徨わせた。


『ずっと』


アーヴィンは思わず、言葉を失った。
ザラの気持ちが、まっすぐ胸に届いたようだった。


握っていた手を引く。

すると、ザラの体は引かれるがままに抵抗なくバランスを崩し、アーヴィンの胸の中へと収まった。
強く抱き竦めると、僅かにザラの体が強張る。


小柄な体も、細い肩も、自分のものとは何もかもが違っていた。

こんなにもこいつは小さかったかと驚く。

少しして、ザラが小さくなったのではなく、自分が大きくなったのだと気が付いた。


「…医務室、そこを曲がった角だ。場所、もうわかるな」


アーヴィンが問うと、胸の中で、ザラが小さく頷く。


「手当て、ちゃんとしてもらえよ。…おやすみ」


そっと体を離してザラの瞳をじっと見つめたあと、静かに口付けをひとつ残して、アーヴィンは来た道を戻っていった。


名残惜しそうに離れた手を、ザラは静かに握りしめた。
暗闇へと消えていくアーヴィンの背中を見送り、医務室へと歩き出す。


顔が近づいた時の、アーヴィンの熱っぽい眼差しを思い出すと、素手で心臓を掴まれたように苦しかった。


『…浅ましいなあ』


暗闇に向かって、ぽつりと呟く。

離れていた四年間は、ただアーヴィンのそばに居られるだけでいいと思っていたのに、いざそばに寄ると、アーヴィンの全てが欲しくなる。



ため息を吐きながら医務室の扉を開けると、中に居た人がザラの方を振り向いた。


「…なんだ、ラドフォードか。こんな時間にどうした」


『あ、れ…?リヴァイ兵長、お疲れ様です』


医務室にいた意外な先客に、ザラは目を見開いた。


『兵長こそ、どうされたんですか』


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