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【リヴァイ】君がため

第3章 生意気な新兵



『な、仲良くしてください……?』


自分は五歳とかそこらの幼女だったろうかとザラは思わずにはいられなかった。

和解したはずです、尊敬しています、なので仲良くしてください。

我ながらなんという間の抜けた発言なのだろうと羞恥心で穴に埋まりたい気分になった。


声をあげて笑い出したいのを必死に堪えるために、エルヴィンとハンジは首の筋を痛めそうなほどに顔を背けているが、ぶるぶると肩が震えている。

当のリヴァイはというと、目元こそ無表情を保っているが、唇がにわかに戦慄いていた。


「リ…リヴァイ兵長すみません、入団早々、こいつが色々と不躾なことをしたようで…」


見かねて、横から口を挟んだのはアーヴィンである。

小さく縮こまっているザラに助け舟を出そうという算段なのだろう、リヴァイに詫びの言葉を述べつつ、ザラの頭を上から押さえつけると、自分と一緒に下げさせた。


「悪いやつではないんですが、昔っから常識から外れてるといいますか、変わってるといいますか…すいません、悪気はないんです」


ザラの度重なる愚挙の根底に、故意的な思惑や悪気がないことは、リヴァイをはじめ、ハンジやザラと仲のいい新兵もよくわかっていた。

関わってみればすぐにザラが邪気のない、非常に素直な、人懐こい人物であることがわかる。

ただ壊滅的に不器用であったり、不運な星の下に生まれたというだけで、あらぬ誤解をかけられることが昔から多々あったのだった。


ザラの擁護に回るアーヴィンの姿を目に、リヴァイの脳裏をふとよぎったのは、調査兵団に入団してまだ間もない頃、頑として兵団に馴染もうとしない自分を、事あるごとに庇ってくれたかつての友人、ファーランの姿だった。


「…フン。いい理解者に恵まれたな、ラドフォード」


ザラが顔を上げると、意外にもリヴァイは優しい顔をしていた。


リヴァイは目線をアーヴィンへと移した。

アーヴィンの顔には見覚えがある。
エルヴィンが気に入って連れ立っていたということもあるだろうが、それ以前に、兵団の中でも立体機動の腕が目立った。


なるほど、お前がラドフォードの言う例の幼馴染、アーヴィン・アスクウィスだったのかと、リヴァイの頭のなかで点と点とが同じ線上で繋がった。


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