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【リヴァイ】君がため

第3章 生意気な新兵



面白い新兵、というハンジの言葉にザラは一抹の焦りを覚えた。

ハンジの言葉から察するに、エルヴィン団長はもう例の噴水事件の話を聞いてしまったのだろう。

アーヴィンはどうだろうか。
私の愚行を、すでに誰かから聞いているのだろうか。


「なるほど、君がザラ・ラドフォードか。ハンジから話を聞いて、ぜひ一度会いたいと思っていたんだ。エルヴィン・スミスだ。入団おめでとう、歓迎するよ」


にこやかに笑って、エルヴィンが右手を差し出す。

一刻も早くその場からアーヴィンと共に遠ざかりたいザラだったが、団長の握手を無下に断るわけにもいかず、ぎこちない笑みを浮かべながらエルヴィンの手を握った。


「アーヴィンとは知り合いなのかな?」

『ええ、その……同郷の、幼馴染みなんです』


答えながら、ザラは痛いほどの視線をエルヴィンの背後から感じていた。

見て確認せずともわかる。
きっとリヴァイが、鬼の形相でこちらを見ているのだろう。


なぜこんなにも強く睨みつけられているのか、思い当たる節はある。
あるが、とてもではないが怖くてそちらを確認することはできない。


「へえ!じゃ、この子と間違えてザラはリヴァイを噴水へ突き落としたんだね!」


ザラの恐怖を微塵も感じず、ハンジがにこやかに言った。

アーヴィンが噴水?とザラの方を見る。

ザラはぎくりと苦笑いを浮かべたまま、何も言うことができなかった。



「あれ、聞いてないのかい?ザラ、入団二日目に君とリヴァイのことを間違えて、あろうことかリヴァイを噴水へ突き落としたんだよ。ハハッ、何度聞いても笑っちゃうなあ、傑作だよね!………あれ?」



ひとしきり笑ってから、ハンジはふと無表情になり、まじまじとアーヴィンとリヴァイを交互に見た。

暫くそうして二人を交互に見つめていたが、やがて顎に手を当てると、不思議そうに首を傾げた。


「…ザラは二人を見間違えたんだよね?」


ザラは答えない。

否、答えられないと言った方が正しいのかもしれないが、ハンジの質問の真意には、恐らくその場に居合わせた誰もがすでに気付いていた。



「確かに、髪の色はおんなじだ。でも間違えたにしてはやや身長が…」

『わー!!』


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