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【リヴァイ】君がため

第3章 生意気な新兵



『おはようペトラ!遅れてごめん!』

新兵たちが朝食の配膳の支度をしているところへ、小走りに駆け寄ってきたザラが加わった。

「おはようザラ。謝ることないわよ、今日あなた当番じゃないじゃない。それに…」

ちらりと周りを一瞥して、ペトラはぐっとザラに身を寄せた。
周りの新兵に聞こえないように声を潜めると、興味津々といった風に目を輝かせた。

「見てたわよ、リヴァイ兵長と仲良さそうにお話しできてたじゃない!あんなに怖がってたのに、一体どういう風の吹き回し?」

『やー、それがね、話すと長くなるんだけど……。結論から言うと誤解だった。もう完っ全に誤解。リヴァイ兵長という人の人となりを完全に誤解してたね』

うんうんと頷きながらザラは続ける。

『人は見かけに寄らないって、これ言い出したの誰?もう言い得て妙すぎ。どれだけ怖くて嫌な人なのかと思ったら、普通に会話は成り立つし、よく周りを見てるし意外と優しいし…』

「でしょう!?」

ザラが話すのを遮って、ペトラが興奮気味に身を乗り出した。

もとよりリヴァイのことを崇拝し、慕っているペトラである。
てんで賛同してくれなかった親友がようやくリヴァイの魅力に気がついたことが嬉しくて堪らないようだった。
ふふんと鼻を高くして笑う。

「私の言った通りだったでしょ」

『お見それしました、さすがです姉さん』

「あれに加えて、人類最強の実績よ。そして立場は兵士長」

『何それ、おいしすぎ…?天は二物を与えたな…?』

思わず、顔を見合わせてくすくすと笑う。

こうしてペトラと他愛のない話をしていると、自分が兵団に身を置いていることを忘れ、年相応の年頃の町娘であるような錯覚にザラは陥るのだった。


「でも、何はともあれよかったわね。そういえば、兵長が何かとあなたを目の敵にしてたのはなんだったの?」

『ああ、それはね、私がどこかからの刺客なんじゃないかと疑ってらしたみたいよ』

「ザラが刺客!?」

堪えきれず大きな声を出したので、周りの新兵が一斉に二人の方を振り返った。
ばか!と小声でザラが怒り、ペトラはバツが悪そうに下を向いた。


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