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【リヴァイ】君がため

第3章 生意気な新兵



『処分覚悟で申しますけれど!』

ザラは大きく息を吸い込んだ。

『リヴァイ兵長は戦いの技術だけでなく、人としてももっと優れたお方なのかと思っておりました、でも思い込みとはいけませんね、人類最強なんて肩書きばっかり、戦地で巨人を狩れるから何だって言うんです、兵士長という座に就かれているから何だって言うんです!心底がっくりいたしました、貴方を噴水に突き落としたあと、色んな人から貴方の噂を聞きました、みんな口を揃えて貴方を崇めていましたよ、だから私……、私、楽しみにしてたのに。貴方様のお傍で訓練をつけられること、そのお背中を追えること、楽しみにしてたのに!』

胸中の制止の声を振り切り、半ば怒鳴るようにして一息に言い切った。
言い切った後、やはりほんの少しの後悔の念が胸を掠めたが、何を悔いることがあろう、自分の心を守るために私は言い切ったのだ、と自分に必死に言い聞かせた。

いたたまれなくなって、思わず俯く。
リヴァイの表情が気になるが、あまりにも恐ろしくてとてもではないが直視できない。

大噴火のあと、唐突に冷静さが胸に舞い戻って、ザラは背中を嫌な汗が流れるのを感じた。
顔の血の気が引いていくのがわかる。
私は一体、上官に何をしでかしたのだろうと今更になって思い始めた。

リヴァイは未だ黙っている。
怒り心頭のあまり、言葉も出ないのだろうか。

いや、それだけの事を言った。
今この場所で叩き斬られてもおかしくないほどの、愚行。

『……』

詫びの言葉を口にしようとして、いや、今更何が覆ろう、とやはり諦めた。
意を決して、恐る恐るリヴァイの顔を見上げる。

「お前……」

唖然としていたリヴァイは、驚いたように言った。


「根性のあるやつだな。なかなかいい啖呵だった」


今度はザラが唖然とする番だった。
激怒一択だと信じて疑わなかったはずの相手に、一体どういう風の吹き回しか、素直な顔で褒められた。
リヴァイはザラをしげしげと見つめ、しきりに関心しているようだった。

「新兵で俺にそこまでの口をきいたのはお前が初めてだ。新兵ってのは普通な、俺と話す時なんざ返事するのが関の山なんだよ。それをお前……」

『さ、差し出がましいことを申し上げますが』

断りをいれて、ザラが言った。


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