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【リヴァイ】君がため

第7章 歴史の動く時



『その…エレンて子、巨人になるんですよね。危険性はないんですか。傍にいて…兵長に何かあったり、しませんよね』


リヴァイの胸に縋るようにして、ザラが言う。

リヴァイに万が一のことがないか、心の底から心配している口ぶりだった。



「…さあな。先のことは、誰にもわからない。だが、面会した時の奴は……ただのガキのように、俺には見えた」



リヴァイの脳裏に、審議所の地下牢で再会したエレンの顔が蘇った。

大きな目が印象的だと言うだけで、他に何の特徴もない、そこかしこにいる一兵士と何ら変わりなかった。


エルヴィンとリヴァイによる面会にエレンは緊張した面持ちで臨み、そして、強い光を宿した瞳で、調査兵団入団の意向と、巨人に対する激しい憎悪の念を見せたのだった。


エレンの瞳の奥にリヴァイは、爛々と燃える炎を見た。

激しい業火であったように思う。

その瞳に魅せられ、リヴァイは、エレン・イェーガーの全責任を請け負うとエルヴィンに突きつけたのだった。



『…じゃあ、調査兵団に入団が決まった後は、兵長がその子の面倒を見るんですね』

「ああ。だが、信用したわけじゃない。裏切られたならそこまでだ。……奴は、俺が殺す」



リヴァイは抱き締めていたザラの肩を掴んで身を離すと、真っ直ぐにザラの両の目を見つめた。



「俺たち調査兵団の急務は二つ。エレン・イェーガーの確実な保護、及び監視。そして、巨人化能力の解析評価実験だ。それに伴いエルヴィンの意向で、急務の遂行にあたる特別作戦班を編成する運びとなった。…指揮は、俺が執る」


リヴァイと同じように、ザラもまたまっすぐに、リヴァイの瞳を見つめていた。


「求めるのは、奴がもし無許可に巨人化した際に、それを抑止するだけの力を持った精鋭部隊だ。兵団の中から五人、俺の一存で好きに引き抜いていいとエルヴィンに言われた。…危険な任務にはなると思う。だが、お前の戦力無しに、精鋭部隊の編成は有り得ない。…ついてきてくれるか、ザラ」


ザラはリヴァイの言葉の一つ一つを噛みしめるように深く頷き、そして、顔を上げて穏やかに微笑んだ。




『──ええ、どこへだってついて行きますよ。
 天国でも地獄でも、あなたが望むのなら、どこだって』



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