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【リヴァイ】君がため

第7章 歴史の動く時



その異常事態は、壁外調査中に発生した。


壁外にて作戦遂行中、その全ての行程を断ち切り、急遽陣形の辿る道は大幅に変わった。


「エルヴィン!これは、まさか…」

「ああ、巨人達の動きが妙だ。早急に壁内へと戻る!陣形の全部隊へと伝えろ!」


壁外の巨人達が一斉に街へと向かって進路を変え、その異変にいち早く気が付いたハンジとエルヴィンが早急に指示を下したのであった。

嫌な予感が、調査兵団に長く属する者の胸をかすめていった。


巨人達の動きはまさに五年前、超大型巨人によりウォール・マリアに大穴を開けられ、人類の活動域がウォール・ローゼまで追い詰められた、あの時の悪夢のような惨劇と酷似していた。


「エルヴィン……まさかとは思うけど、街に何か…」

「わからない」


深刻な面持ちで固唾を飲むハンジに、エルヴィンもまた、重々しく口を開いた。


「…何もないことを願う。が……異常事態だ。十中八九、街に何か、起きている」




今朝出立したばかりのトロスト区へと帰還した折、調査兵団の兵士達はみな信じられない光景に目を見張った。

壁に開けられた穴とそれを塞ぐように置かれた巨大な岩、そしてその岩に群がる巨人達。

壁の中からは人々の断末魔が絶えずあがっている。


「チッ…門は通れねえ、上だ!急げ!」


驚きに固まっている兵士たちを怒鳴りつけ、真っ先に馬上から立体機動に移り壁を登り始めたのはリヴァイだった。

続いて、すぐさまザラが、時を同じくして他の幹部達が壁内を目指して壁を登っていく。

兵士たちはハッと我に返り、みな急いで後へと続いた。



『兵長!黄色の煙弾が!』


壁を登りながら、ザラが叫ぶ。

作戦成功を知らせる黄色の信煙弾が、尾ひれを伸ばし勢いよく空へと上がっていくのが見えた。


『……これ、は……』


リヴァイに続いて壁の上へと降り立ったザラは、眼前に繰り広げられる惨劇に目を見開いた。


どこを見渡しても巨人と、そして、志半ばに散ったのであろう兵士たちの無残な姿しか見えなかった。



「……っ、ザラ!ボサッとすんな、続け!」



リヴァイに怒鳴られ、慌てて我に返る。

壁上から彗星の如くリヴァイが降下した先には、今まさに巨人に襲われまいとしている兵士の姿が見えた。


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