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【リヴァイ】君がため

第2章 第一印象は最悪



あんな風にきつく恐ろしい顔立ちをした人でも、誰かを愛し、思い悩んだり、胸を焦がしたりしたことがあるのだろうか。
もしくは、今まさに、愛している人がいるのだろうか。

できるだけ関わりはもちたくないが、ふとそんなことは気になった。
もしペトラに協力することになったら、そんなところにも探りを入れられたらいいななどと、のんきにザラは思う。

席に着こうとしたリヴァイが、ふと辺りを見渡した。
なんだろうと思ってる間に、空をさまよっていたリヴァイの視線が、バチリとザラの視線と重なり、ザラは咄嗟に顔を伏せた。

あまりにも遠かったので、思い違いだったかもしれない。
だが、確かに目があったようにザラには思えたのだった。

リヴァイの視線がまだこちらを向いているのか、ザラにはわからなかった。
視線を伏せたまま、隣のペトラに、そろそろ出ようかと声をかける。
ペトラはザラの様子に気がつかなかったのか、快く応じ、二人は食堂を後にした。



「……どうした、リヴァイ」

リヴァイがぼんやりと遠くの方を見つめているので、訝しげにミケが尋ねた。
どこからか視線を感じ、辺りを探ると、例の新兵と目が合ったように感じたのだった。
何かと思う前にすぐさま視線を逸らされたので、自分と目が合っていたのかはわからない。

「…いや、なんでもねえ」

小さく呟いて、仲間内の方へと視線を戻す。

いつもとなんら変わらぬ様子でリヴァイとミケは話し始めたが、リヴァイの横で、ハンジだけが、リヴァイの視線の先にいた人物と、その人物の表情の変化の一部始終を、静かに見守っていた。



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