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【リヴァイ】君がため

第2章 第一印象は最悪



リヴァイ兵士長。

眼光だけで人を射殺せそうな、鋭い双眸が印象的。
背が低い。
どこに巨人を次々と追撃する力があるのかと疑惑の念を感じさせるほどに、全体的にほっそりとしている。
口が悪く、嫌味ったらしい。
後ろ姿が、幼馴染に似ている。

できれば、あまり関わりたくない。
でもペトラが好いているというのならば、恋の成就のために協力してやらんでもない。

(いや……)

そこまで考えて、ザラは不意に笑いが込み上げてくるのを堪えた。
いやいやいや、恋て、と思った。

恋などという浮ついた言葉と、リヴァイ兵長という存在があまりにも不釣り合いなので、思わず笑ってしまったのだった。
果たして恋愛などというものが、あの人との間に成立するのだろうか?

よほどのことがない限り、感情を表へ出さない人だろう。
それはリヴァイ兵長だけに限らず、団長やハンジ分隊長といった、人の上に立つ存在の人に共通して言えることかもしれないが。

ハンジ分隊長だって、いつもあっけらかんとして気さくににこにこしているが、ある一定のところからは決して他者を踏み込ませてくれない。
心から信頼を置いている存在と、そうでない者の間に、巧妙に線引きをしているように感じる。

調査兵団の幹部ともなる人材であると、おのずとそうなるのであろう。
敵は巨人だけとは限らない。
壁の中でも、他兵団との軋轢や、抗争がある。
いつ、どこで、どんな相手に命を狙われているかわからない。
明日は我が身と思い、普段から抜かりなく各所に目を光らせているのだろう。
私には到底無理な役回りだ、とザラは思った。

はた、と遠くにいたリヴァイがザラの視界に入った。
今日もハンジや、同じく分隊長の身分であるミケ・ザカリアスなどと、何かを話しながら食堂へと入ってくるところだった。
和やかだった食堂の空気が、わずかに強張る。
この兵団を束ねる幹部達の登場に、兵士達には緊張感が滲んだようだった。

洗練されたただならぬ雰囲気、鋭い目、低い声───。

ぼんやりと遠くからリヴァイを見つめながら、ザラはペトラの言葉を頭の中で反芻した。
ザラからすれば、表情の読み取れない、機械のような人間である。

(リヴァイ兵長は……)

人を愛したことがあるのだろうか、と頭の片隅でぼんやりと思った。



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