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【リヴァイ】君がため

第6章 そばに



「……なんだ」

『いえ、なんだか。顔が赤い兵長なんて、滅多に見られないなあって。へへ』


ザラはゆっくりと腕を上げて、指先でリヴァイの頬に触れた。

頬に触れられるなどてっきり拒絶されると思ったのに、意外なことにリヴァイは拒むことなくザラの手を受け入れた。

火照った頬とは裏腹に、ザラの指先はひんやりとして気持ちが良かった。


『わあ、あったかい』

「お前…さては相当酔ってるな」


ふふ、とザラが吐息混じりに頷く。


『お酒、強くないんです。好きなんですけど、滅法、弱くて』

「飲みすぎたのか」

『今日は少し、回るのが早い日でした。この分だと、今日はもう飲めないなあ。残念』


ザラの指は、未だリヴァイの頬を撫でている。


『兵長はお酒、お強いんですか』

「強くはない。弱くもないがな」

『ふうん…。でも、酔っても、そんなに、変わらないんですね。少し顔が、赤くなったくらい』

「そうだな。もともとそんなに顔に出るタチじゃねえ。……お前は、なんだ。真っ赤だな」

『はは。一口目を飲んでからものの数分で、これですよ。あまりにも心拍数が高いので、一回落ち着けって、ほとんど強制的に外にほっぽり出されたんです』

「ハッ、外に出されたのに誰もついてはくれなかったのか」

『そうなんです!そうなんですよ!これで私が外で倒れて死んでたりした場合、本当にどうするんですかね!?』

「うるせえ、叫ぶな…頭に響く」


身を乗り出して語気を強めるザラに、嫌そうな顔をしてリヴァイが言う。

ザラはついつい熱くなり過ぎた自分を恥じ、リヴァイの頬から指を離して俯くと、小さくごめんなさいと謝った。


会話が途切れる。
途切れたが、心地の良い沈黙が二人の間を漂っていた。

触れ合う場所にお互いの肩がある。

リヴァイが故意に肩を寄せると、それに気付いてか否か、応えるようにザラも肩をぴたりと寄せた。


そうして暫くの間無言で肩を寄せ合っていたが、唐突に何かを思いついたらしいザラが、不意に勢いよく立ち上がった。


「おい、なんだ…。びっくりするじゃねえか」


『兵長、わかりました。踊りましょう』


「あ?」


突然立ち上がったかと思えば、急に訳のわからないことを言う。


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