• テキストサイズ

【リヴァイ】君がため

第6章 そばに



ザラの耳朶に、何度もパティの断末魔が蘇っては、遥か彼方へと消えていった。


(パティが───)


最期に見た景色は、何だったのだろう、とザラはぼんやりと思った。

痛かっただろうか。
苦しかっただろうか。

パティの魂は、今、どこにいるのだろう。

家族が待つ家へと、帰っていったのだろうか。







次の日の夜、珍しく酒の配給が多くあったとの報告があり、久しぶりに宴が催された。

目立った成果は挙げられず、人命と物資のみを失くした壁外調査だった。

明らかに落ち込んだ兵団の士気を見計ってか、あまり乗り気ではなかった新兵達をも巻き込んだ大宴会となり、兵士たちはやり切れない思いを腹の底へ流し込むように酒を飲んだ。


───あいつ、いつもコップにすこうしだけ、飲み物を残すんだよ。ちょっとだけ残ってるから、下げていいもんなのかわからなくて、いっつも洗い物の時に困った。ちゃんと飲み切れって何度も言ったのに、結局、最後まで、飲み切らなかったなぁ。

───なんでか知らねえが、部屋に入った途端、すぐに靴を脱ぐんだよな。それを部屋の端に寄せてるならまだしも、そのまま放っておくもんだから、邪魔ったらありゃしねえ。同室のみーんな、部屋に入るなりそれにつまずいて、いつも喧嘩になったんだ。ノーマンが本気で怒った時は、みんなで腹抱えて笑ったなぁ。

───私の前髪、いつもあの子が切ってくれてたのよ。知らなかったでしょ?そう、多分生まれながらに、そういう感覚の冴えた子だったのよね。いつも上手に切ってくれたわ。こんな時代じゃなかったら、人の髪を切る仕事に就きたかったのって、零してたっけ。



兵士達は、故人を偲んでは大いに笑い、そして、泣いた。



普段はなかなか大人数の席では酒を飲まないリヴァイも、今日はハンジが執拗に勧めてきたこともあり、かなりの量を飲んだ。

酒は飲んでも飲まれるな。
そんなことわざを律儀に守ってきたのがリヴァイという男だったが、明日も武器や機材の点検だけで、その他は実質休みだということもあり、多少二日酔いが残っても支障はないだろうなどという考えがふと頭をもたげた。

一杯目を煽り、二杯、三杯…と調子良く進むにつれ、許容量を超えただろうかと思った後でも、リヴァイは勧められるままに断ることをしなかった。


.
/ 191ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp