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【リヴァイ】君がため

第6章 そばに



「おーいザラ!ペトラも!こっち来て座れよ!話してえことあんだ、一緒に食おうぜ!」


日が落ちたあとの兵団の食堂で、朗らかな男の声が辺りに響き、その声を聞いた何人かの兵士は声の主をちらりと一瞥し、また自分の手元へと視線を戻した。

食堂に入ってきたザラ達は、声をかけてきた男に向かって苦笑すると、夕食を持って男達の席へと混じった。
最近の食堂では、このようにザラとペトラを新兵達が取り囲んで、立体機動の技術について教えを請う場面が多々見られるのだった。




「…なんだい、その顔は。混ざりたいなら君も行ってくればいいじゃないか」

時を同じくして食堂で夕食をとっていたハンジが、隣に座るリヴァイの顔を見るなり呆れたように言った。

「あ?話に混ざりてえなんざ一言も言ってねえ」

「顔にそう書いてあったよ。…ああ、少し違ったかな。ザラのことが気になる、の方が、適切だったかも」

「…何が言いたい」

相手の出方を伺うように探りを入れてくるハンジに向かって、リヴァイは声音を低くして言った。
鋭さを増した瞳が、ぎろりとハンジを睨んでいる。

はは、とハンジは小さく笑って、お手上げだという風に肩を竦めた。


「やだなあ、別にからかってる訳じゃないよ。まあ…単刀直入に言うなら、ザラと、何があったんだい?」


眼鏡の奥で、ハンジの奥が小さく光った。

ハンジだけでなく、リヴァイと近しい存在の者はみなこの最近のリヴァイとザラの様子を不審げに思っていた。

今まで何かにつけて共にいて和やかに笑い合っていたリヴァイとザラが、ある日を境に急によそよそしくなった。
完全にお互いを避けている訳ではないようだが、兵舎の廊下で立ち話している姿なども見かけなくなったし、ザラの笑顔もどこか他人行儀なものになったことにハンジは目敏く気が付いている。

妙なのは、関わりを持たなくなったくせに、相手に悟られまいとそっと伺うように、視線を忍ばせて相手の姿を目で追っていることだった。

当の本人達は気が付いていないようだったが、どちらか片方の側にいることが多いハンジは、そんな二人の奇妙な視線の追いかけっこに気が付いていた。



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