第6章 そばに
始めは驚いて身を固くしたザラもすぐにリヴァイの感情の昂りを感じ取ったようで、観念したのか、静かに瞳を閉じてリヴァイを受け入れた。
リヴァイの行動は痛いほどによく理解できた。
脳が熱を持ち溶けるように熱く、自己のコントロールの効かなくなるような感覚は、ザラも前回の壁外調査で身をもって体感していた。
体の奥底が燃え、足は空を踏むようで、魂が実体を離れ、第三者の視点から茫然と自分を眺めているような心持ちになるのだった。
乱暴に口付けを繰り返しながら、窓際からベッドへ向かってリヴァイが体を押すとザラはなされるがままに押され、呆気なくベッドへと倒れ込んだ。
ふいに唇を離したリヴァイと瞳がぶつかる。
熱っぽいリヴァイの両の眼に射竦められた途端、ザラは胸に甘い痛みが走ったように思った。
心の奥がざわざわと騒ぐ。
熱い吐息がリヴァイから漏れ、再び二人の顔が寄せられた。
目を閉じたザラの目尻から、涙が一筋、滲んでこめかみを伝っていったが、リヴァイはそれに気付かなかった。
寄せられる唇が、唇から頬、耳、首筋へと移動し、リヴァイはザラの服の首元を緩めて広げると、そのまま柔らかな首筋に噛み付いた。
ザラから細い悲鳴があがる。
うっすらと涙が滲んだザラの目が、まっすぐにリヴァイを見つめていた。
その目がまたリヴァイを煽った。
理性の最後の一欠片を手放し、リヴァイは快楽へと向かって、本能的にザラを求めたのだった。
異性と肌を重ねることは初めてであったザラも、始めこそは痛みに苦しげな声をあげたが、激しさのなかに垣間見えるリヴァイの優しさに、それも徐々に溶かされていった。
痛みより快楽がまさった時、思いがけずザラは乱れた。
ほとんど無我夢中だったように思う。
貫かれた時の、まるで刃物で刺されたかのような鋭い痛みだけはよく覚えていたが、あとのことはただ夢中で、断片的にしか記憶に残らなかった。
覆いかぶさられた時のリヴァイの肌の熱さと、熱のこもった眼差しだけは眼に焼き付いたようにくっきりと覚えていた。
あとはただただ夢中で、真っ暗な谷底へと、頭から真っ逆さまに落ちていくような感覚だった。
.