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【リヴァイ】君がため

第2章 第一印象は最悪



初陣で早々に命を手放してしまいそうな危うさも感じるし、その反面、図太く生き長らえていくような気の強さを感じないでもない。
まだ付き合いが浅いこともあるだろう。

全ては、次のの壁外調査でわかることだ、とリヴァイは思った。

訓練兵として三年に渡る訓練をみっちり積んできたからと言って、新兵が初陣で活躍できることなどほとんど無い。
調査兵団に属する誰しも、ひょっとすると当の本人たちである新兵までもが、そうとわかっているだろう。

初めての壁外調査。
そこで一定数の新兵は、命を落とすこととなる。
故郷から遠く離れた、壁の外の枯れた大地に骨を埋める者も少なくない。

その時、リヴァイの脳裏にふと、イザベルとファーランの顔が浮かび上がった。
肉体を失ってしまった今、彼らの魂がどこにいるのか、リヴァイにはもうわからない。
彼らはまだ、死地となったあの場所に囚われているのだろうか。


……いつのまにか、深い物思いに耽っていたようだった。
顔を上げると、ザラが厩舎の掃除を終え、別れの挨拶をするかのように、馬の肌を撫で付けているところだった。

リヴァイは立ち上がった。
だんだんと、兵舎がざわつき始めている。
また、一日が始まる。
どこへともなくそう思った。


***


「ザラ!おはよう早いのね、どこに行ってたの」

食堂へと踏み入ったところで快活な声をかけられた。
声の主を確認しなくともわかる、ペトラだった。

『ちょっと朝のお散歩に。まだ全然どこに何があるか覚えられてなくてさ!』

「あなた重度の方向音痴だったものね……。お願いだから、訓練場の方角がわからなくて訓練に遅刻、みたいなことだけはやめてよね。そんな言い訳をするあなたの姿を見たくないわ」

『ははは、善処するよ……』

ペトラの危惧した未来があまりにも容易に想像できてしまったので、ザラはげんなりとした気持ちで笑った。

調査兵時代にもこういった理由で怒られることが多々あった。
訓練に遅刻する、座学の講義の提出物が期日までに出せない、掃除があまりにも手抜きだとこってり絞られる、等々…。

言わずもがな、故意に手を抜こうとしていたザラではない。
頑張ったところで成果が出ない。
努力不足だと一蹴されれば無論それまでであるが、端的に言えば、絶望的に要領が悪いのであった。


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