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【リヴァイ】君がため

第5章 隣の温もり



「それだけ元気がありゃもう安心だ。明日からは程々にな」

『はい…あの、本当に、ご迷惑おかけしてすみませんでした』

ザラが頭を下げると、リヴァイは小さく笑ってザラの頭に手を置いた。

「…早く治せ。お前が元気に俺のそばを動き回ってないと、毎日に張り合いがなくてつまらん」

柄にもないことをリヴァイが言うので、ザラは思わず笑ってしまった。
人類最強などと崇められ、特に新兵達からは恐れ慄かれているリヴァイ兵士長がこんなことを言うなど、誰が想像できようか。

リヴァイに悟られぬよう笑ったつもりだったが、ザラの肩が笑いを堪えて小さく震えているのを目敏くリヴァイは見逃さなかった。
ザラの頭に乗せていた手を離すと、そのままザラの額を指で弾いた。
あで、とザラが可愛げのない悲鳴をあげる。

褒めたりなどするとすぐに調子になるザラの額を、リヴァイはいつもこうして指で弾くのだった。


『…早くまた兵長に立体機動の訓練をつけていただきたいです』

「そろそろ指名料がとれる頃だな」

『なっ…何ですかその制度!それならもう一生お願いしません』

「おい、つい今さっき訓練つけて欲しいっつってただろが」

『新兵からお金せびるような方に訓練なんてつけていただきたくありません……ていうか!大体、いつも兵長の方から寄ってくるじゃありませんか!指名料頂戴したいのはこっちですよ、まったく!』

頬を膨らませてぷりぷりザラが怒ると、リヴァイはいよいよ堪えられずに小さく吹き出した。
そのまま、机の上のランプを消すと、静かにベッドの中へと滑り込む。


「…ザラ」


小さくリヴァイがザラの名を呼んだ。
暗がりでリヴァイの表情が見えないが、どうやらこっちへ来いということらしい。
身をよじってリヴァイの方へにじり寄ると、二人の体が触れ合ったところで、優しく背中へリヴァイの腕が回った。

いつもは呼び掛けたりなどいちいちせず、問答無用にザラを引き寄せるリヴァイであったが、一応ザラの怪我のことを気にしているらしい。
乱暴に引き寄せたり力強く抱き締めたりせぬよう細心の注意を払っているようだった。

リヴァイの優しさがザラにもわかり、思わず幸せな気持ちになる。


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