第5章 願いはただひとつだけ
いつか…いつの日か…本当の夫婦になれる日がくるといいのに…
そんなふうに思っていた。
それがやっと、長い時を経て叶ったのだ。
「リヴァイさん…こんな日が本当に…本当にくるなんて…」
「…」
目元を真っ赤にさせながら左右の手の甲で何度も涙をぬぐうがいっこうに止まる気配がない。
リヴァイはそんな姿を見て椅子から立ち上がるとの隣まできて手をとって立たせた。
「俺は…あの時は…じゅうぶんすぎるくらいに幸せだった。それなのに今度は人として生まれ変わったお前と出会えて、結婚できる。とんでもねぇ奇跡だ…」
「リヴァイさん…」
「繰り返す人生の中で、諦めずに俺を探してくれて…ありがとうな」
そう言ってを抱きしめるとフワリと香るの独特な香り。
もうは鳥の姿ではなくなったが、香りはあの頃と何も変わっていない。
太陽のような、温めた粉のような、爽やかでもあり重厚感のある香り。
リヴァイが愛してやまなかった香りだ。
「私の方こそ…寒い雨の中、見つけてくれて…ありがとうございます!」
リヴァイの胸にうずめていた顔を上げて、涙を流しながら満面の笑みで答える。
そんなと視線が交われば自然と重なる唇。
硬くて、少しザラつきのある嘴とするキスも愛おしかった。
しかし、人として生まれ変わったと交わすキスは、さらに愛おしさが増し抱きしめる腕に力を入れながら何度も何度も求めてしまう。
何故が何度も人生を繰り返していたのかは結局分からず終いだ。
神から与えられた試練か?
はたまた神の悪戯か?
神の存在や運命の類を信じていないリヴァイにとってこの謎めいた出来事は迷宮入りだが、1つだけはっきりしていることがある。