第5章 願いはただひとつだけ
「誓というプレゼントだ。来年も、再来年も、ずっとずっと側にいてくれ。俺がじいさんになるまで…いや違うな、じいさんじゃない…お互いに年老いて、どちらかが死ぬまで側にいて欲しい…」
「………」
あの時、前世で聞いた言葉は「じいさんになるまで側にいてくれ」だった。それはオカメインコだったの寿命が20年程だったからだ。だが、人間として生まれ変わった現世では、リヴァイは「死ぬまで側にいて欲しい」と言った。
リヴァイが前世で話した言葉を使い、死ぬまで側にいて欲しいと言ったということは、これはもうが確認したかったことが聞けたと思ってよいのだろう。
リヴァイの想いも、気持ちもじゅうぶんに伝わったはコクコクと頷いた。
「誓ってくれるか…?」
「はい…!」
「俺は…今までお前とのことを思い出すことのできなかった薄情な男だ…こんな俺だが…結婚してくれるか…?」
「そ、そんな…リヴァイさんは…薄情なんかじゃ…それに…私が…リヴァイさんのお嫁さんになれるなんて…本当に、いいんですか?」
「お前以外に誰がいるんだよ…」
「そんな…私…夢みたいで…嬉しくて…」
リヴァイはずっと側にいて欲しいという願いだけではなく、結婚という形でお互いの関係をはっきりとさせてくれた。
は涙を流しながら遠い遠い昔のことを思い出す。
遠い昔まだ自分が鳥だったとき、新羅のマンションのベランダで静雄から言われた言葉。
「はリヴァイの嫁さんみたいだな!」
何も事情を知らない静雄に言われたのが妙に嬉しかったのだ。
しかし愛しいリヴァイとは互いの愛を誓い合った仲ではあるが、人同士の結婚のように、婚姻関係を証明するものは何もない。
それを綺麗な夜景を眺めながらは寂しくも感じていた。