第5章 願いはただひとつだけ
「サンタクロースはフィンランド人だ。こんな都内のマンションまで来てくれるかわからねぇから俺がプレゼントを用意した。あけてみるか?」
ここまで話すと、リヴァイはポケットから小さな箱を取り出しの前にスッと置いた。
「リヴァイさん…その話は…」
口元に両手を当てながらは両目からポロポロと涙を流した。
そう、リヴァイの話はあの時、自身がまだ鳥であった時のクリスマスにした会話とまったく同じであった。
震える手で小さな箱に手を伸ばしあけてみると、その中には2連になったプラチナリングの間に小さな真珠とメレダイヤが並んだ美しい指輪が入っていた。
「こ…これは…」
「ダイヤだけの指輪にするかどうか迷ったんだが、どうしても真珠を入れたかったんだ。気に入ってくれたか?」
そっと手に取りはめてみようとしたが、はふとリヴァイがどの指用に買ったのかわからず一瞬まごついてしまう。
すると…
「、この指だ」
「あ…」
向かいに座っていたリヴァイが椅子から立ち上がると、の手を取って指輪をはめた場所は左手の薬指だった。
「………」
左手の薬指にはめる指輪の意味をがわからないはずなどない。
戸惑うに構うことなく、リヴァイは椅子に掛け直すと話を続けた。
「…なぁ。実は今日は俺の誕生日でもあるんだ。こんな俺にもプレゼントをくれるか?」
「リ…リヴァイさん…」
はこの先に語られる言葉を知っている。
それは、何度も何度も人生をやり直してきたが心から望んでいた言葉だ。