第5章 願いはただひとつだけ
忙しさのピークをこえたオフィスでの業務は慌ただしくなることもなく、順調に進んでいった。
もで、今日までの依頼を滞りなく消化していく。
3人とも特にトラブルが舞い込んでくることもなく、気づけば時計の針は午後の4時30分を回ろうとしていた。
「エルヴィン、の業務が終わったら今日はもう上がってもいいか?」
カタカタとキーボードを叩く音が無機質に響いていたオフィスでリヴァイがエルヴィンに声をかけた。
「ん?あぁ…そうか。もうそんな日付けだったな。私の方は構わないよ。忙しさのピークもこえたし、私も早めに帰るよ。」
エルヴィンはカレンダーで今日の日付を確認するとすんなりと納得し、了承した。
今日は世の中が陽気に盛り上がるクリスマスだ。
それにもう1つ、今日はリヴァイの誕生日。
早く帰りたい理由には十分すぎるくらいのイベントである。
「了解だ…?今日の仕事はあとどれくらいで終わるんだ?」
「えっと…はい、もうこれで終わりです!」
「そうか、じゃあ支度しろ、帰るぞ」
「は、はい!」
いきなり声をかけられ驚いたが、の方も今日の仕事は終了したようだ。
急いで帰り支度を済ませるとハンガーに掛けておいたコートをはおり、リヴァイと共にオフィスを後にした。
リヴァイの車の助手席に乗り扉を閉めシートベルトを着用すると、自宅マンションへと発進する。
道は少し混雑しているが、この時間の山手通りはいつもこんな感じだ。
帰宅後は、少しゆっくりできるだろう。
は窓の外を眺めながらリヴァイにどんな祝の言葉を贈るかあれこれと考え始めた。