第4章 記憶と真実
101回…
よく人生は一瞬だと例える人間もいる。
別にその例えを否定するつもりはない。
だが、その例えが通じるのは“1度きりの人生”だからだ。
1度きりの人生、楽あれば苦もある。成功もあれば失敗もある。あれこれと自分の幸せのために必死に模索しているうちに、あっという間に棺桶の中なのであろう。
それが、死んでも終わりがない場合はどうだろうか。
死んでも終わりがない、生まれ変わってもゴールが見えない。どうしたら終わりにできるかもわからない。
見えない、わからない、終わりがない…
こんな人生のループ、どうかしているだろう。
「…俺は、今どんな言葉をかけてやったらいいのか…わからない。お前の過ごしてきた膨大な時間や、膨大な苦しみを考えると、簡単に言葉が出てこない…すまない…」
リヴァイは正直な気持ちを伝えることしかできず、言葉を詰まらせながら眉間にシワを寄せてしまう。
あまりにも語彙力のなさに苛立ち、心の中で盛大に舌打ちをした。
「いえ…いきなりこんなおかしな話をされても…戸惑うのが普通です…でも…でも…本当なんです…」
「…知らなかったとはいえ…記憶がなかったからとはいえ…1人にさせて悪かった…その昔、お前を看取るときに俺は…“俺を1人にしないでくれ”と言ったのに、俺はお前を1人にさせた上に…孤独に彷徨わせた…」
「リヴァイさん…謝らないでください…」
は決してリヴァイに謝ってもらいたかったわけではない。
この意味不明な人生のループはどうやって発生したのかは自身にもリヴァイにもわからないのだ。
はリヴァイは何も悪くはないと左右に首を振った。