第4章 記憶と真実
「寒くて、冷たくて…指先もつま先も冷え切って痛くなって…今回もやっぱりこのまま死ぬ運命だったんだと絶望してしまったら…動けなくなってしまって…」
「…」
「でも…そんな絶望の中リヴァイさんが声をかけてくれて…こんな奇跡みたいな再会のしかたは初めてだったから…期待してはいけないと思いつつも期待してしまって…でも不安もいっぱいでした…だから、リヴァイさんが思い出してくれたのが本当に嬉しくて…私…本当に…うぅ…」
「…孤独に何度も人生を繰り返していたなど信じがたいが…お前が嘘を言っているとは思っていない。前世の記憶をもったまま人生を繰り返すなど、いったい…今回で何度目なんだ…?」
前世の記憶をもったまま人生を繰り返すなど、例え1回だとしても気がおかしくなりそうな大事件だ。
それをはリヴァイと出会えなかった人生、途中で自死を選択した人生、リヴァイが他の女と結ばれた人生があったと言っていた。
最低でも3回は繰り返していたことになる。
だとしたら大事件を通り越して発狂不可避の由々しき事態だ。
しかし、から返ってきた返事はそんな生やさしいものではなかった。
「私が繰り返した人生ですか…?私は今…前世の記憶をもったまま…101回目の人生を生きて…います…」
「……………」
あまりにも衝撃的な回答に、目を見開いたまま何も言えなくなってしまったリヴァイ。
なんと返事をしてやればいい?
なんと声をかけてやればいい?
わからない…
リヴァイは生まれ育ったドイツを離れて日本で起業する人生を選択して随分たつ。
リヴァイ自身の人生も、もちろんだが色々あった。
母国を離れて起業していれば予想外の出来事にトラブルなど数え切れないほどある。
身体もメンタルも強い部類に入るリヴァイでさえ、頭を抱えた事くらい何度もあった。
だが今のリヴァイは、そんなことが爪の先程の小さな出来事に成り下がるくらいの大きな戸惑いと衝撃を受けていた。