第4章 記憶と真実
「私は…前世でリヴァイさんと暮らした記憶を持ったまま何度も人生を繰り返していたんです…何度生まれても、何度死んでも、必ず2101年の5月1日に四月一日として生まれ変わるんです…両親も、親族も生まれる土地も毎回違うのに…私だけは必ず四月一日として生まれるんです…」
「は…?なんだよ…それ…」
状況がまったく理解できない。
そんな様子のリヴァイを見ては身体をゆっくり起こすと、真っ赤になってしまった目元の涙を袖で拭いながら続ける。
「リヴァイさんと出会えなかった人生…出会えても結ばれなかった人生…前世の記憶をもったまま繰り返す人生に心を壊して自殺した人生もありました…でも、諦めたくなかった…この負のループはリヴァイさんと出会って結ばれて終わりにしたいとずっと願ってました…」
「…そんなことが…」
「リヴァイさんがどこの国で生まれ変わっているかも毎回わからなかった。だから私は世界中の言葉を1つでも多く話せるように…がむしゃらに語学を勉強して…翻訳家として働いていたんです」
「何ヶ国語も翻訳ができたのは…俺のため…だったのか…?」
が何ヶ国語も操ることができたのは、リヴァイがどこの国で転生していても会話をすることができるようにするためだった。
全ては、自分と再び巡り会うため。
それだけの言語を習得するなど、並大抵の努力では成し得ない。
が苦しみながらいったいどれだけ必死に勉強したのかと想像したら、リヴァイの胸はズキンと強く痛んだ。
「付き合っていた元恋人は、心から愛していたわけではありません。自殺をしても、殺されても、きっとまた1からやり直しになるのはわかっていました。だから…どうせ死ぬなら、死ぬ前に賭けたかったんです…前世で一緒に過ごした中野坂上で…奇跡的に再会できることを…」
ここまで話すとは布団のカバーをギュッと握りながら再びボロボロと涙を流した。