第4章 記憶と真実
「くっ…いったいなんなんだよ…」
殴られたような衝撃で視界一面が灰色のような銀色のようなチカチカで埋め尽くされていく。
非常に不快な感覚だ。
何が起こっているのかわからず必死に頭を振っていると、両方のてのひらにストンと何かが乗るような感覚を覚えて視線を下におろすと…そこには1羽の鳥が横たわっていた。
「……?!」
白にグレーのまだら模様で、頭に特徴的な長い羽。
ピクリとも動かない。死んでいるのだろうか。
目に飛び込んできた瞬間はまったく理解ができなかったリヴァイだが、その鳥を見つめていると頭の中から自分のものと思われる声が次々に流れ始めた。
「約束だ。じいさんになるまで側にいてくれ…」
「愛している…」
「死なないでくれ…」
「…まだ、死なないでくれ…」
「俺を置いて…死なないでくれ…」
「…」
頭の中に直接響いてくる声は紛れもなく自身のもの。
そして…かつての自分が言った言葉ばかり。
それは、いつのことだっただろうか。
1年前でも、2年前でも、3年前でも…10年前でもない。
ではいったいいつ言ったのだ。
リヴァイは今一度冷静になって考え直す。
年老いた手、横たわっている鳥、死なないでくれと懇願する自身の声、…
何度も何度も繰り返し心の中で唱える。
「……まさか…」
点と点が線になり繋がると、リヴァイの頭の片隅で眠っていた膨大な記憶が、堰を切ったかのように次々と溢れてきた。
「そうだ…これは…この鳥は…だ…俺は昔、お前を看取ったんだ…」
てのひらで横たわっている鳥はリヴァイがかつて飼っていたオカメインコの。
リヴァイは生まれてからこのかた1度も鳥を飼ったことがない。しかし自身の手にいる鳥は確かに飼っていたのだ。