第4章 記憶と真実
「……」
検査結果は陰性。
大幅なリスケジュールの必要はひとまずなさそうな展開になんとなくホッとする気持ちもあるが、リヴァイの胸はザワザワとしたままだった。
高熱が特徴の感染症ではなかったのに、はこんなに高い熱が出て意識を失って苦しんでいる。
本当にただの風邪なのだろうか。
考えたくはないが…から聞いていなかった持病がここのところの忙しさで悪化してしまった…なんてことはないだろうか。
1人で待っていなければならない状況のせいか、グルグルと悪い方にばかり思考がいってしまう。
もし、このままが死んでしまったら…
そんなことがあってはならないと思わず勢いで立ち上がってしまったが…
「う……」
突然視界がグニャリと歪んでしまい両手で頭を抱えてしまう。
目眩だろうか。
リヴァイは眩む頭に負けて、ストンと椅子に逆戻りしてしまった。
「………」
師走は毎年こんな慌ただしさだ。
もはや恒例行事になっていて疲れただのなんの言ってる暇も余裕もない。
毎度毎度のことに身体も慣れているはずだと思っていたが、意外にも疲れていたのだろうか。
エルヴィンもリヴァイも人並み以上に身体は鍛えていて、体力にはそれなりに自信はあった。
それ故、疲れに関してはまったく自覚がなかった。
目を閉じ頭を抱えたまま目眩の原因を考えるが、それらしいものは見つからない。
やはり疲れたのだろうか。
原因らしい原因は思い当たらなかったが、少しの間目を閉じて座っていたら回転するような目眩はおさまっていた。
小さなため息をつきながら頭を抱えていた手をおろすと、今度は手の違和感に呼吸が止まりそうなる。
「は?!…これは……」
手の甲に見覚えのないシミや皺が次々に浮き出てきて、自身の年齢とは似つかわしくない老人のような手になってしまう。それと同時にガンと何か硬いもので殴られたような衝撃がリヴァイの頭を襲った。