第4章 記憶と真実
「……そうとは知らずすまなかった。今日はもう帰ってくれてかまわない。リヴァイ達明日は休みだろう?まだしばらく忙しいからな。帰宅後はゆっくり休んでくれ」
「悪いなエルヴィン、後は頼んだ…」
「エ、エルヴィンさんすみません!お先に失礼します…!」
挨拶も早々に、リヴァイはの肩にコートを引っ掛けると引っ張るようにオフィスを出て行ってしまった。
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ビルの地下駐車場から車に乗り車道に出ると、時間帯のせいか道路は若干渋滞気味だ。
この辺りの交通量はいつもこんな感じだ。
リヴァイは電車通勤も車通勤もしている。そんなリヴァイにとってはこの時間の混み具合などわかりきっている筈だが、早く帰宅したい今日に限っては苛立ちを隠せない。
だが、この渋滞はのせいではない。
小さく深呼吸をしてハンドルを握り直すと、苛立ちを悟られぬよう運転に集中した。
一方はひとまず締め切りの近い仕事を全て片付けることができて安堵していた。
しかし…
「…………」
緊張が一気に緩んだからだろうか。
視界がグニャリと歪み、気分が悪くなってきた。
リヴァイの運転はいつも安全運転で、急いでる時でさえ酔ったことなど一度もない。
これは紛れもなく今朝から誤魔化していた体調が、明らかに悪化しているのだ。
吐き気に頭痛になんだか寒気までしてきた。
は襲いかかる不調に負け、黙って目を瞑ることしかできなかった。
「…?」
詰まり気味だった道路が段々とスムーズになってくると、リヴァイの焦る気持ちも少しずつ落ち着きが戻ってくる。
自宅への到着時間が読め、苛立ちの波が小さくなると自然と目線がの方へと向くが、の様子がなんだかおかしい。
リヴァイはすぐにハザードランプを点灯させると、安全確認をしながら車を路肩に一時停止させた。