第4章 記憶と真実
―――――――――――――――
「行ってくる。エルヴィン、後は頼んだ。夕方には戻る」
「了解だ。今日はもう出る予定はないから心配せず行ってきてくれ」
「あぁ…頼んだ…」
エルヴィンが昼過ぎに戻ると、リヴァイは自身の予定のため荷物をまとめて席を立つが、のことが気がかりで後ろ髪をひかれてしまう。
しかし、の方を見れば真剣な顔でパソコン画面を見つめて手元を動かしている。
パッと見る限りいつものだ。
本当に今朝はただの寝不足だったのだろうか?
一生懸命仕事をしている姿を、声をかけられぬままじっと見ていたら、視線に気付いたの顔がクルリとリヴァイの方を向いた。
「リヴァイさん、お気をつけて」
「あ、あぁ…行ってくる。なるべく早く帰る。無理はするなよ」
目が合うとニコリと笑顔を向ける。
向けられた笑顔に今朝の気怠さのような雰囲気はうかがえず、少し安堵したような気持ちになった。
自分の勘違いならそれでいい。
そう自身に言い聞かせるとリヴァイはコートを羽織り、クライアントとの待ち合わせ場所に向かうため急ぎ足でオフィスを出て行った。
「?コーヒーでもどうだい?」
「あ、エルヴィンさんすみません!!私が淹れます!」
「大丈夫、私が淹れるから。は締め切りが近いのかな?あまり無理して仕事を引き受けすぎないように気をつけるんだよ。休み休みやっていこう」
エルヴィンは手慣れた手付きで2人分のコーヒーを淹れると、のデスクまで持ってきた。