第3章 揺れる記憶
「君がか!はじめまして、リヴァイから聞いていると思うが、エルヴィン・スミスだ。よろしく」
「は、はい…お話は伺っております…四月一日です、しばらくご厄介になります…」
オフィスに到着すると、エルヴィンは待ってましたと爽やかな笑顔で2人を迎え、早速の手を握り自己紹介をした。
「リヴァイから聞いていた通り、美しい貴婦人だ」
「……え?!」
貴婦人
そのワードにの肩がピクリと動く。
まさか…と思い長身のエルヴィンの顔を見上げるように上を向くと、目が合った瞬間パッと手を離されてしまった。
「す、すまない…貴婦人なんて呼ばれ方…少々古臭く感じてしまったかな?」
「古臭くも何も…気色悪いからやめろ…!」
「リヴァイさん…」
握っていた手を離し、気まずそうに後頭部をポリポリとかいて謝罪をするエルヴィンに辛辣な突っ込みを入れるリヴァイ。
そんなやり取りを見ながら、は自身の想像がハズレたことを理解する。
「、家に1人にしておくのが心配で連れてきちまったから何も準備ができていない。すまないが、適当に時間を潰していてもらえるか?」
ガランとしたオフィスの隅に置いてある来客用の椅子を持ってくるとリヴァイは座るように促した。
「殺風景なオフィスで悪いな…」
「い、いいえ…私のためにすみません…お邪魔は致しませんので…」
「そういえば、は翻訳の仕事をしていたとリヴァイから聞いたが、よければここで仕事をしてみたらどうだ?」
椅子にこじんまり座っている姿を見たエルヴィンがにここで好きな仕事をしたらどうかと提案してみた。