第3章 揺れる記憶
「…あっ………」
リヴァイはの無事な姿に心底安心したのか、気づいたら思いきり抱きしめていた。
「…リ、リヴァイさん…!?」
突然の事に戸惑うの胸の鼓動はまるで小鳥のようにせわしなく高鳴ってしまう。
「はぁ…無事で良かった…今日1日、お前が無事でいるか気が気じゃなかったんだ。」
「リヴァイさん……」
抱きしめたの身体は細く華奢だった。
それは、あとほんの少しでも力を入れたら折れてしまいそうな程に。
だがリヴァイは、の体型だけではない、ある事に気づく。
「……………」
抱きしめたまま口元を耳のあたりに持っていくと、何だか変わった香りが鼻を、脳を刺激した。
「リ、リヴァイさん…?」
抱きしめられた事にも驚いたが、スンスンと自身の香りをかいでるリヴァイに戸惑ってしまった。だが、リヴァイは冷静に問いかけてきた。
「あぁ…いきなりすまなかったな…ちょっと聞きたいんだが、は何かフレグランスの類はつけてるのか?」
「え?い、いいえ…私は香水とかあまり興味がなくて…あっ!も、もしかして、私…なんか変な匂いしましたか?」
自分の体臭は自分ではあまりよく分からない。
この家は男の一人暮らしとは思えない程清潔だ。
もしかしたら自分の体臭が気に障ったのかもしれない。
そう思ってしまったはリヴァイから距離を取ると必死に頭を下げて謝罪した。
「す、すみません…すぐにシャワー浴びてきます!」
「違う、そうじゃない……そうじゃないんだ。」
リヴァイは自分と距離をとったの手首を掴むと、再度引き寄せて首元に顔を近づけた。
「なんだか…落ち着くなと思ったんだ……それに俺はこの香りを知っているような気がしてな…だからどこかで嗅いだ香水なのかと思って聞いたまでだ。臭ったとかじゃねぇから安心しろ。」