第3章 揺れる記憶
「心配ならここに連れてくればいい。だいたいどちらかはいるだろう?」
確かに離れた場所に1人にしておくよりも、ここなら大抵どちらかはいる。
リヴァイ自身もあらかた落ち着いたら連れて来るつもりであったが、早々に連れてきてもいいだろうと考えた。
「あぁ…そうするか。」
「それで、その彼女の名前はなんていうんだ?」
「名前?名前は四月一日だ。」
「わたぬき?珍しい苗字だな。」
「四月一日とかいてわたぬきと読むらしい。はそのまま書いてだ。」
「か…美しい貴婦人だな。」
「…はぁ?!」
「あ、いや…なんでもない…ただ、美しい名前だなと…そう言いたかっただけだ。」
言ったエルヴィン本人も、何故そんな事を口にしたのか分からないとばかりに首を傾げ口元に手を当てた。
ー貴婦人ー
確かにという名前は珍しい。
響きも使われている字も美しい。
しかし、エルヴィンが言った貴婦人という呼び方。
いつもなら気持ち悪い呼び方をするなと一蹴する所だが、リヴァイは何故だかすぐに突っ込めなかった。
貴婦人…
理由はわからないが、リヴァイはこのフレーズになんとも言えない既視感のような感覚が頭の中をぐるぐるとめぐった。
「まぁいい…お前が構わないと言うならは明日からここに連れてくる。もしかしたらの同棲していた男がここを嗅ぎつけてくる可能性もゼロではない。本当に大丈夫か?」
「ハハハ、その質問は心外だなリヴァイ。お互い日頃から鍛えているし、チンピラの1人や2人、わけないだろう。」
「まぁな…」
「それじゃあ、早速明日から連れてくればいい。」
「あぁ、そうさせてもらう…」
無事にを安全に置いておける場所が見つかると、リヴァイもパソコンの電源を入れ仕事を始めた。