第2章 冬の雨
「確かに…俺は身内ではないかもしれないが、お前を助けると言ったんだ。もし1人で出歩いてる所に例の男が現れたらどうするんだ?対処できるのか?」
「そ、それは……」
正論を突き付けられてしまい言葉を失う。
「仕事はフリーランスだ。しかも腐れ縁の同郷と2人で会社を立ち上げてるから何も問題ない。今日はクライアントとの面談も、急ぎの仕事も入ってないからライン1つで休めた。だから気にするな…」
「同郷の方とお2人で…ですか…?」
が胸元をギュっと握り問いかける。
「ん?そうだ…あらかた落ち着いたら紹介してやる。エルヴィン・スミスって名前の同郷だ。歳は向こうが上だがな。」
「…エルヴィン・スミスさん……」
「なんだよ?知り合いだったか?」
目を見開いてエルヴィンの名を復唱したにリヴァイは知り合いなのかと聞いたがそれは否定をされた。
「…とにかく用事が山積みだ。これ食ったら準備して出るぞ。」
リヴァイはフライパンから焼き上がった目玉焼きとベーコン、冷凍庫に入れておいた食パンをトーストした物をダイニングテーブルに並べると、紅茶を淹れて食べるように目配せをした。
「………」
男の一人暮らしとは思えない程の立派な朝食には言葉を失った。
────────────────
そして支度が済むと、2人は晴れた寒空の中出かけていった。
役所の中の専門部署に案内されると、その手の被害者に精通したソーシャルワーカー的な職員が親身に話を聞いてくれ、の生活に必要な届け出を全て代行で行ってくれた。
事情を説明し、住民票や身分証明書などもリヴァイの住んでいるマンションの住所で仮発行してもらえた様だ。
そして、やはり被害届は出した方が良いと説明を受けると、その職員は最寄りの警察署まで連絡を入れて、話を通しておいてくれた。