第2章 冬の雨
「ん……えと……」
は安心しきってぐっすりと眠っていたのか、心地良い目覚めにすぐに頭がクリアになる。
「そ、そうだった…私は昨日リヴァイさんに…」
上質なマットレスを使っているのだろう。寝心地は勿論良かった。そして何よりも心から安心して眠ることができた。
すると、リビングの方では何やら生活音が聞こえてくる。
リヴァイは先に起きているのだろうか。
はベッドからでて、掛け布団と毛布を軽く畳むと、リビングの方まで足を運んだ。
ーカチャー
「あ、あの……」
「あぁ、起きたか…体調はどうだ?昨日はちゃんと眠れたか?」
の顔を見ると、リヴァイは真っ先に体調を気遣った。
「は、はい…お陰様で…ぐっすりと…それと、お言葉に甘えて、必要な物も購入させて頂きました。」
「そうか…それなら今日は荷物が届く前に色々と用事を済ませるぞ。」
「…………」
昨夜リヴァイは言っていた。
自分はDVの被害者だと。
必要な手続きや届け出をすると言っていたがリヴァイだって成人している社会人だ。
はその疑問をリヴァイに問いかける。
「リヴァイさん…昨夜、役所や警察に行くと仰ってましたが、リヴァイさんは、その…お仕事ですよね…?」
「あ?仕事なら休んだから大丈夫だ。車を出した方が早いだろ?」
「………」
仕事を休んだ?
自分は身内でも何でもないのだ。
さすがにそんな事までさせてはいけないと、は慌てふためきながらその申し出を断った。
「そ、そんな…お仕事を休むなんていけません。私は…リヴァイさんの身内でもなんでもありませんので…役所にも警察にも1人で行けます…リヴァイさんは、どうかお仕事に行かれて下さい…」
「あぁ…?!」
今の言った事は自分を気遣っての事だと十分に理解できる。
しかし…
“身内でもなんでもない”
この言葉が何故だか妙にリヴァイを苛立たせた。
確かに自分は身内でもなんでもない。
とは昨日の夜初めて会ったという間柄だ。
しかし、どういった訳かその言葉が胸に引っ掛かり苛立ちを覚えてしまった。