第2章 冬の雨
「おい、聞いてるのか?」
そこでハッと我に返ったはリヴァイに向き直ると首を縦に振り答える。
「は、はい…変な事言ってすみませんでした…必要なものはお言葉に甘えて…揃えさせて頂きます…」
「…それでいい。じゃあ俺はリビングにいるから、何かあったら声かけろよ。」
そう言うと、リヴァイはクローゼットから予備の毛布を1枚だして、寝室を出ていった。
「…リヴァイさん…」
さっきに向かって答えた“なんとなくだ”という言葉。
何度否定をしようとしても、何度だっての頭の中で都合のよい解釈をしてしまう。
「もう…期待するのも…傷付くのもイヤよ……」
は大きな黒い瞳から一筋の涙を流すと、リヴァイから借りた部屋着の袖でゴシゴシと擦りながらパソコンの画面に目をやった。
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ー翌朝ー
リヴァイはいつもの時間に目を覚ました。
「…………」
ソファで寝ていたあたり、昨夜の事は夢ではなさそうだ。リビングをぐるりと見渡すがの姿は無い。まだ眠っているのだろう。
リヴァイは起き上がるとカーテンをチラリとめくり外の様子を見る。
雨はやんでいて少し晴れ間も見えていた。
外回りの用事を済ませるのには好都合だ。
すると、リヴァイはスマートフォンを手に取りラインを送る。
ラインの送信先は同郷で腐れ縁のエルヴィン・スミスだ。一緒に仕事をするようになってから何年もたつ。
リヴァイは急ぎの仕事とクライアントとの面談が入っていなかったため、“急用で休む”と連絡をしたようだ。
「何か作るか……」
昨日コンビニで買ったのは適当に売れ残っていたパンだった。
さすがにこんな物を出すわけにはいかないと思ったリヴァイは、冷蔵庫と冷凍庫をあけ頭をひねる。