第2章 冬の雨
四月一日…
誰かの誕生日などいちいち覚えてなどいない。
そのため、誰かの誕生日というわけではなさそうだ。
では何故。
何故こんなにも胸に引っかかる。
誰かの誕生日でもなく、リヴァイには記念日の類なども縁遠い。それ故エイプリルフールで何か騒ぎ立てたりした事もない。
「…………」
結局の苗字に胸がざわついた理由が分からなかった。
すると、今度はが口を開く。
「リヴァイさんは、お名前からして日本の方ではないです…よね?」
「あぁ…俺はドイツで生まれ育った。色々と縁あって今は日本で仕事をしている。…そういうお前も…」
リヴァイはの顔をしげしげと見つめると、日本の名前にしてはどことなく日本人ぽくない事に気づく。
黒くて長い髪、大きくて黒い瞳。
しかし、透き通るような白い肌に彫りの深い顔立ち。
はどことなく日本人ぽくなかった。
「分かりますか?私の父は日本人ですが、母がオーストラリア人なのでハーフなんです。生まれも育ちも日本ですし、髪も目も父似…。ですが、なんとなく母とも雰囲気は似てると言われるので、やはり私はハーフなんですね…もう両親は他界しておりますが。」
「そうか……」
一通りの自己紹介は終わった。
次はが逃げてきた事情や今後の事など話をしなければならない。
しかし、家に上げた理由が理由なだけにリヴァイはどうしたものかと考える。
だが、自分がについて、事情を全く分からぬままというのもかえって危険に晒してしまう可能生もある。
1つ1つ聞いていくしかないだろう。
「話しにくいかもしれないが…お前を助けた以上、色々と聞いておかなくてはならない事がある…大丈夫か…」
「………」
自分は命からがら逃げてきた。
ここにいる事がバレればリヴァイに迷惑をかける事態になるのだ。
「大丈夫です。全ての事情をお話しさせて頂きます。」
はリヴァイの言いたい事を理解すると、少しずつ、事のあらすじを語り始めた。