第2章 冬の雨
「あ、あの…シャワーと着替え…ありがとうございました。」
先程の事を気にしてるのだろうか、少し頬を染めて俯きながらリビングに入ってきた。
「……さっきは悪かった。ちょっと待ってろ…」
そう言うと、リヴァイは立ち上がりキッチンへと向かうと湯を沸かし始めた。
「…………」
黙ったままソファに座っていると、キッチンから紅茶のいい香りがしてきたため、女は条件反射でキッチンを見ると、四角いトレーにカバーのついたティーポットとティーセットを2つ乗せてリヴァイがやってきた。
この家は殺風景といっても過言ではない程に余計な物が一切なく、まさに男の一人暮らしの部屋そのものだったが、紅茶に関しては凝っている様だ。
きちんと蒸らし、ポットにはカバーまでかけられている。
そして、茶こしを使って丁寧にカップに注ぐとリヴァイは女の前に出してやった。
「砂糖とミルクは?」
「あ、いえ…このままで…ありがとうございます。」
カバーがかけられたティーポットと、独特なカップの持ち方をするリヴァイを交互にじっと見つめる女。
何がそんなに気になるのだろうかと思ったリヴァイだったが、色々と事情を説明してもらわなければ困る。
リヴァイは一口紅茶を啜ると、ソーサーにカップを置いて女に質問を投げかけた。
「俺の名前はリヴァイ・アッカーマン。池袋で同郷のヤツとフリーで仕事をしている。お前の名前は?」
「私の名前は…四月一日といいます…」
「わたぬき??変わった名前だな…」
苗字も名前も変わった名で少し驚いたリヴァイにと名乗った女は続けた。
「珍しいですよね…わたぬきは“四月一日”と書いてわたぬきです。その昔、四月一日に綿入れの着物から綿を抜く事からこういう読みになったと言われています。も変わってますが…そのままです…」
「………」
四月一日…
リヴァイは何故か無性にその日付が胸にひっかかった。