第6章 良いお年を【エルヴィン】
「うわ・・。結構熱烈・・」
「これはこれは・・」
「チッ・・柄にもねぇことをしやがる」
「・・フンッ」
エルヴィン奪還作戦はいつの間にか、ラブレター鑑賞大会になっていた。赤面する可哀相な副官を他所に1枚1枚読んでは盛り上がる彼らは暇なのだろうか。年末は忙しいから幹部は兵舎に残って仕事をしているはずではなかったのか。そんな疑問が僅かに脳内に浮かぶが恥ずかしさでそれ所ではない。
「もう勘弁してください!団長奪還作戦はどうなったんですか!?」
今にも泣きそうな副官を見て流石に本筋に戻らねばと思ったのだろう、手紙を読むのをやめ話し合いに戻った。
「まぁ、上手くやれるよ。壁外調査に比べたらそんなに難しい作戦でもないし死なないし」
自らの立案に自信があるらしく、ハンジは気楽だ。このメンツで一番苦労するポジションは恐らくモブリットだろう食らいつくようにエルヴィンの文字を見ている。
「お前は安心して任せていればいい」
内心不安なになっているのを見透かしたリヴァイが声をかける。肩に置かれた手がとても心強い。申し訳なさは消えないが、旧知の仲である彼らを信じてみようと思った。