第10章 帰還2
部屋に戻ると、私は寝ぼけて、ぼんやりとした意識をはっきりと覚醒させることになった。
「如月、ここ……昨日の部屋だよね?」
「ほほ、そうですよ。同じです。ただ、お部屋の調度品は全て新しい物になっております。昨日まで物は築城の際に、家臣の方が用意されたと聞き及んでおります。それを信長様があつ姫様に、『そんな物を使わせる事はまかり成らん』とご用意されました」
確かに、昨日までの物は新しくはなかった。
だが、どれも日本中から集めたであろう、高価な物だった。しかし、新しい調度品は、それをも上回る豪華な物。
私に甘い信長の考えそうな事だと、溜め息を吐いた。
けれど、如月に着物を着せられ、打掛けを羽織った時、更に大きな溜め息を吐く事になったのだった。
その後、朝餉を信長と共にと聞き、五階にある信長の居室へと向かった。
時を遡る事、早朝。
登城した政宗は、憂鬱な顔をして城の廊下を歩いていた。
と、いつものように若い女中達が群がって来た。
「政宗様、昨夜はどうされたのですか? お待ちしておりましたのに……」
「私もです。寂しかったですわ」
口々にそう言うと、女中達は政宗にまとまりつく。
だが、いつもと違い政宗の気もそぞろだ。
業を煮やした一人の女中が、政宗の腕に絡み付くと彼は、その行為に反応を示した。
後一押しと、女中は更に密着する。
「……まあ、まだ時がある。俺の部屋に来い。相手をしてやる」
早い者勝ちと言わんばかりに、もう一人の女中が、政宗の腕に絡み付く。
二人の女中達を連れ、城の自室へと向かった。
部屋に入ると女中達は、いそいそと着物を脱ぎ始める。
政宗は、胡座をかいた上に頬杖を付き、視姦する。
だが、一向に己のそれは反応しない。
女中達は、全て脱ぎ捨てると座っている政宗にしなだれかかる。
「政宗様? 如何されましたか?」
「……ん、ああ、何でもない」
何でもない事はない。
全裸の女達に全く唆られないのだ。
政宗は、少し焦っていた。
そして、女中の頭を引き寄せると、噛み付くように口付け、お世辞でも綺麗と言えない胸を鷲掴みにした。
そうするうち、ゆるゆると反応する己の物。
が、如何せん、いつもと違う。
焦る政宗を余所に喘ぐ女中。
もう一人の女中は、政宗の物を口に含み、恍惚の表情をしていた。