第2章 反省会
「よろしくお願いします」
「こちらこそ。…昨日の試合、見てたよ。今日はね、自由に動いてみていいよ。なるべく僕がフォローするから」
にっこりと笑いながら優しく指示をくれる不二。言われた通りに動いてみると、昨日よりもプレーしやすいことに気付く。不二のフォローが良かったお陰か、今日は勝つことが出来た。
練習が終わるとレギュラー陣は竜崎先生に集められる。
「お前達に五月の地区予選のミクスドメンバーを発表しておく。ミクスド1は菊丸と来葉、そしてミクスド2、不二と夢野だ。このペアでまずは頑張っていって欲しい」
…あたし…不二先輩と?菊丸先輩じゃないんだ。
萌は思考が止まったように呆然とする。昨日の反省会を活かして、自分の欠点を直していこうと気合いが入っていた矢先のことだった。
「夢野、地区予選よろしくね」
解散後、笑みを浮かべて不二が話し掛けてくる。
「…あっ、はい!」
我に返っておろおろと返事をする萌を、不二はやや楽しそうに見つめてきた。
「ふふ…大丈夫。当日までに僕が鍛えてあげるよ」
「頑張ります」
挨拶を済ませて周りに視線を移すと、ふと菊丸と目が合ってしまう萌。
わ…目が合っちゃった。気まずい…
すると菊丸はいつものようにお茶目に笑って明るく言った。
「…ペア、別れちったね。ざーんねんだったにゃ~」
去っていく菊丸のその言葉が何となく心に残るのを萌は感じた。何故だか急に淋しさが募り足取りが重くなっていく。
しかしこうして発表があった以上、とにかくこれからは不二としっかりダブルス練習していくしかない。胸に残る気持ちを切り替えるため、萌は自分にそう言い聞かせた。
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