• テキストサイズ

sweet and sour time

第18章 夏合宿(前半)


 いよいよ短期集中強化合宿が始まった。学校の合宿施設に泊まり込みで強化練習を行うものだ。普段よりかなりハードな内容のメニューを一日中延々と続ける。
 女子にはさすがに厳しい内容ということで、萌達には練習量を減らす代わりに食事の用意や洗濯などのサポートの役目が割り当てられた。お手伝いの1年生達と共に雑務もやっていかなければならない。なかなか大変なスケジュールだ。
 初日はハードな練習と慣れない作業で目まぐるしく動き、あっという間に過ぎてしまった。
 菊丸先輩が言ってた通り、これはかなりキツいかも…



 二日目、暑さと練習量の増加が相まって疲れが押し寄せてくる。雑務のほうも全員の人数が多い分大変だ。役割分担を決め、皆で手分けしてなんとか作業をこなしていた。

「あ~腹へったなぁ」
「おっひるお昼~」

 今日は萌達が昼食当番だ。瑠羽と二人で作ったカレーを、練習でへとへとになりいつも以上に腹をすかせたメンバー達に振る舞う。体を動かしっぱなしなため、皆おかわりをしてすごい食欲だ。

「二人とも、サポート役いつもありがとうな」

 おかわりをよそっていると大石にねぎらわれ、さりげなく気遣われたひと言に疲れていた気分がふわっと軽くなる。

「…不二先輩、食べないんスか?」
「残念だけど…ちょっと、調子崩しちゃったみたい」

 テーブルの端では、食事を断る不二に心配そうに海堂が尋ねている。体調が良くないらしく、彼は早々に自室へ戻ってしまった。
 その後も萌は練習参加の他、合間を縫って洗濯や夕飯の支度と休む暇もなく働いていた。



「夢野」

 夕食、お風呂を済ませてやっと落ち着ける時間となった頃、竜崎先生が食堂から顔を出して廊下を通りすがった萌を呼び止めた。

「不二にお粥でも持っていってやってくれないかい。さすがに腹のすく頃だろう」

 先生は冷蔵庫の中身を確認しながら頼んできた。不二の容態は気になっていたところだ。快く返事をした。

「分かりました。作って持っていきます」

 残ったご飯でお粥を作り、早速不二の部屋へ赴く。



















/ 67ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp