第17章 遠慮
「うわっ!お…大石!びっくりさせんなよお」
「ああ、作戦会議中だったか?すまない」
「そ、そうだぞ!まったくもう…」
ペア二人の場面を見て勘違いした大石に話を合わせつつも、どぎまぎした様子の菊丸が微笑ましくて萌は笑みをこぼした。
自分達がいては鍵当番の大石が帰れない。謝ってすぐに外に出る。
大石と普段通りに会話している菊丸を見やりながら、少しは元気になった彼に萌はほっと安心していた。
…でも結局助けられたのはあたしのほうだ。
いつもいつもこうして、周りのみんなに救われてばかりだ。青学テニス部に入ってからずっとそう。
あたしが出来る恩返しは…試合に勝つことだ。合宿を乗り切って、関東大会で勝ち上がる……菊丸先輩と一緒に。
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