第15章 都大会
まっすぐな目を向けられ、心臓がとくんと鳴った。
「先輩のテニスに対する姿勢は、ちゃんと伝わってます」
その熱意を受け止めたくて言葉を探す。どんな風に言ったら伝わるだろうか、こんなにもテニスがしたくてわくわくした弾んだ気持ちを。
「俺頑張る。もっと夢野と打ちたいから」
不意の菊丸のストレートな表現に、今度は心臓がどきんと大きな音を立てた。
「あ…えっ…と、とにかく頑張る!負けたくないし」
言った後で恥ずかしくなったのか、彼は赤くなって少し慌てた素振りを見せた。きちんと言葉にして伝えてくれる菊丸に、萌もつられて想いを口にする。
「あたし、好きなんです…ずっと」
「ほえ!?」
「あっ、あの…菊丸先輩のプレー。あたしも、一緒に打ちたいからもっともっと頑張ります」
あれ?変な言い回しになっちゃったかな?
相手の驚いた反応に、急に焦りが生まれすぐに付け足した。
菊丸の楽しそうなプレーは見ているこっちが楽しくなる。わくわくする。ダブルスは色んな可能性を秘めていると思える。
萌の想いに対し、菊丸は少し目を細めて照れたように微笑んでくれた。
「…うん。ありがとう。これからもよろしくにゃ」
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