第10章 氷帝学園
「ありゃ…やべえ侑士、泣いちゃったぞ」
「おっと、それはアカンわ」
「もうその辺にしてやれ」
跡部の声で、試合の途中でコートを出る忍足と向日。
「…ま、女のコにしてはよく球拾ってたわ」
去り際に話し掛けてくる忍足を萌はキッと睨んだ。
「おー怖い怖い。…でもちょっとお前気に入ったわ。じゃ、お疲れ」
軽く片手を上げる彼の背に杏が呼び掛ける。
「このまま帰る気?」
「さっきの話は全部チャラや。心配するな」
ひと言残し跡部達のあとを追って歩いていってしまう忍足。杏はつき合いきれない、といった風に肩をすくめた。
「今のが去年の関東大会準優勝の強豪、氷帝学園よ。この辺じゃ一番の難関になるかな」
萌は悔しさを胸に拳を強く握りしめた。
…あんな奴ら…青学のみんながきっと倒してくれるはず!
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