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sweet and sour time

第7章 前ぶれ


 不二の発言に妙にドキドキさせられながらも、やっとの思いで部活を終え後片付けをして部室に行くと、菊丸と桃城がまだ残っていた。会話が盛り上がり、支度をした後もここで油を売っていたようだ。

「おう、お疲れ!」
「お疲れしゃ~ん」

 萌も挨拶を返して着替えを持ち奥の事務室に行こうとすると、それに気付いた菊丸に止められる。

「あ、中に大石がいるよ」
「着替えかあ?んなもんココでしちゃえよ」
「わあーお、それってダイタン~!…桃ってスケベだなあ」
「な、何すかそれ!エージ先輩だって今乗り気だったじゃないスか!」

 勝手に盛り上がる二人をよそに萌が事務室をノックすると中から大石が出てきた。

「ゴメンゴメン。さ、どうぞ」

 着替えている間も菊丸達の楽しそうな話し声が聞こえてくる。事務室を出ると菊丸がニヤニヤして萌に言った。

「待っててやったぞー。部室で大石と二人きりじゃアブナイからね~」

 それを聞いて間髪入れず反論する大石。

「なっ…それはどういう意味だ?エージ!!俺は何も…」
「エージ先輩のからかいに乗っちゃ駄目っスよ、大石先輩」
「んもーう、大石はすぐアツくなるにゃ~」

 桃城が苦笑しつつ赤くなった大石にフォローを入れるそばで菊丸は肩をすくめた。ひとしきり騒いで部室を出ると、菊丸が元気に提案する。

「俺と桃でハンバーガー食おーって言ってたんだけど、大石と夢野はどうする?」

 大石は用事があると言って帰ったが、萌は菊丸と過ごしたい気持ちから同行することにした。三人でハンバーガーショップへ入り、萌が桃城と相向かいの席に着くと最後にやって来た菊丸がすっと隣に座った。

「俺夢野のとなりぃ~!」
「エージ先輩ナゲット好きっスよねー」
「桃お前、それ食い過ぎ」

 隣に座られ胸がときめいたのも束の間、普段通りのごく自然な彼らを前にして萌は力が抜けてきた。
 …ヘンに意識しないようにしよう。この人達みたいになるべく自分に素直でいて、それで菊丸先輩が気になったとしたら、きっと好きなんだろうな。















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