第6章 地区予選
五月下旬、地区予選が始まった。日程は一日目に団体戦、二日目がミクスド戦となっていた。団体戦男子は勿論地区大会を制覇した。決勝の不動峰戦では河村とリョーマが怪我をするアクシデントも起きたが、それ以外は問題もなく予選を突破する。
そして二日目のミクスドがいよいよ始まる。他の試合と同じくトーナメント方式で上位二校が都大会に駒を進めることになる。
大会直前の練習で菊丸ペアに一勝していて調子の良い萌達も、経験を積ませたいという竜崎先生の考えにより参戦する。菊丸ペアと交互に出場しスムーズに勝ち星を上げてきていた。
「おいおい、ミクスドの決勝も不動峰とだって?」
トーナメント表を見ていた萌のもとに桃城がやって来て、共に覗き込んでくる。準決勝を勝ち上がったばかりの菊丸がドリンクを飲みながら答えた。
「そうだよん。団体戦でもお世話になったばかりだにゃ~」
「やーな相手っスよね、橘が出てくる可能性もあるし」
「…というより、組み合わせが良かったよ。同じブロックだったらどちらかが残れなかった訳だからね」
萌の隣にいた不二が冷静に状況を分析した。
順番でいくと次の決勝は萌達の番となる。先生も交えて話し合った結果、萌達がそのまま決勝に出ることに決まった。
地区レベルではミクスドにまで気を回せる学校はさほどなかったのだ。だから勝てた。だが昨日の試合を見る限り不動峰はそんなに甘くないだろう。
黙り込み緊張する萌の背中が突然ばしっと叩かれる。振り返るとニコッと笑って送り出してくれる菊丸がいた。
「行っといで」
「…はい!」
…そうだ。テニスを、試合を楽しもう。だってあたしはテニスが好きなんだから…
菊丸の笑顔に勇気づけられ、不二と共にコートへ向かう。
決勝の相手は不動峰の神尾と橘杏のペアだ。