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sweet and sour time

第4章 ミクスド出場前祝い


 すかさず萌がきっぱりと言うと、不二はいきなり腕を伸ばして萌の頭に手を置いた。

「分かってるよ」

 さらにその手を萌の肩に持ってきて、自分の方へ引き寄せる不二。彼に寄り添う姿勢になって萌は驚いて慌て出す。

「わっ…せ、先輩…っ」
「…へーえ、仲いいんだあ…じゃあね、また来週なー」
「じゃね」

 菊丸と瑠羽に手を振る不二の横でちぢこまっていた萌が視線を上げると、やや陰りの差した瑠羽の横顔が一瞬映る。反対へと歩いていく彼女の表情はそれ以上見えなかった。

「さあ行こうか、夢野の好きな練習」

 萌の肩を軽く抱いたまま歩き出す不二。

「あの…待って」

 萌は強引に立ち止まった。何だか不二のペースに流されそうで怖くなったのだ。

「あの、遅くなっちゃったけど練習…行くんですか?」
「いや、夢野がもう帰りたいのなら家まで送るよ」
「えっ…」
「あまり遅くなるとご両親も心配なさるだろうし…でも他に行きたい所があるなら付き合うよ。勿論練習したいって言うなら喜んで」

 不二はあまり表情も変えずにさらりと話す。萌は何故、と問いたくて喉元まで出かかった思いを寸前で止めた。

「…じゃあ…少しだけ練習、付き合ってください」
「うん、分かった。家に電話だけ入れときなよ」

 …優しい。すごく。でも今日の不二先パイはよく分からない。まるで二人きりになりたいみたいに…あたしの考え過ぎかな。



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