• テキストサイズ

sweet and sour time

第4章 ミクスド出場前祝い


 放課後、やや早足で萌はテニスコートへと向かっていた。
 最近何だか部活が楽しい。急にテニスが上達した訳ではない。菊丸ペアにもまだ勝てない。でもこれから先のことを考えるとわくわくしてくる。

「お疲れ、夢野」

 微笑みながら声を掛けてくる不二に萌も笑みを返す。

「今日はどうする?」
「先輩が大丈夫なら行きたいです!」
「フフ…元気いいね。分かった、じゃまた部活終わったらね」

 最近になって萌は不二と共にスポーツクラブへ自主練習に行き始めたのだ。不二がコーチを名乗り出て、彼の通いつけのクラブを紹介してくれたのだった。
 部活が終わり用意をして待っていると、瑠羽達の会話が開いた部室のドアから聞こえてきた。

「周、これから時間ある?かるく何か食べに行かない?」
「…なに、どうしたの急に」
「菊丸君が言い出しっぺなの。お祝いだって」
「お祝い?何の?」
「ミクスド出場前祝いー!!だよん」

 後ろから不二の肩に飛び付いて菊丸が現れる。

「今日土曜だし、いいじゃんたまにはぁ。ほら、あの子も誘ってさ…あっ、いた!夢野~ゴハン食べよゴハン!」

 菊丸に優しく背中を押され萌も話の輪に入る。すると不二が突然こちらに問い掛けてきた。

「…どうする?夢野」
「えっ…あたしは大丈夫ですけど…」

 萌達のやり取りに、瑠羽は勘が働いたのか尋ねてくる。

「もしかして…予定あった?」
「いや、まあ…ちょっとね」
「ほにゃ?そーなの?無理にとは言わないんだけど…」

 答える不二に残念そうな顔をする菊丸。そんな彼を見て萌はせっかくの機会だし、と大きく賛成し皆を促した。
 こうして四人は学校から歩いて行ける近くのファミレスへ入った。まずはドリンクバーで乾杯する。

「よくわかんないけど…かんぱい」
「いーじゃんいーじゃん、なんでもぉ」

 乾杯を告げた後、瑠羽が不二に気を遣い謝った。

「ごめんね、周。無理に誘っちゃって」
「なんで?そんなことないよ」
「ねー予定ってなに?どっか行くの?」












/ 67ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp